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主任司祭より

『二人のパパ様』

2013/10/22 上杉神父


ベネディクト16世教皇が2月28日に退位されました。この決断は600年の間前例が無いそうですが、教皇様がかつてない激務にさらされていた事を思えば、むしろ勇気ある決断であったと言えましょう。カトリック教会は12億人におよぶ世界最大の組織といっても過言ではなく、もっとも広範囲をカバーする情報機関、また宗教界の代弁者としての役割もあります。またバチカン市国代表として国連で大きな提言もされ、全世界を視野に入れた牧者としての使命を担おうとします。78歳のご高齢で教皇に就かれてから、欧米の信者の教会離れや様々なスキャンダル、バチカン教皇庁側近による情報漏えいなどの事件に翻弄され、心痛を抱えておられた事でしょう。高度医療により寿命が延びる中、霊的のみならず知的体力的に重責を果たしていけるのかを自らに問い「良心に従って」決定されたのでした。

「パパ様」ローマ・カトリック教会では、親しみを込めてそうお呼びしてきました。子供の頃、会ったこともない教皇様にたいして親しみを込めて「パパ様」と言っていたことを思い出すのは私だけではないでしょう。近頃「パパ様」はあまり聞かれなくなりました。父である神、また主イエスと親しみを込めて呼ぶように、今後も大切にしていきたい呼び名だと思います。

ベネディクト16世が最初に著された回勅(教皇がローマ・カトリックの全教会の信者にあてて書かれる書簡)の表題は『神の愛』。そこに教皇の教えが象徴されています。愛による奉仕を行うことを力説され、それが人の優しさに基づくものであるよりも、信仰者にとって不可欠の行動であると明記されています。前教皇の教えを忘れないようにしてまいりたいと思います。

3月13日夕方、コンクラーベ(教皇選挙)の5回目の投票で、アルゼンチン・ブエノスアイレス教区大司教のホルヘ・マリオ・ベルゴリオ枢機卿が第266代教皇に選ばれました。ラテンアメリカ、西半球出身では初めて、欧州人以外の教皇としては1300年ぶりです。イエズス会士が選ばれるのは史上初など、全世界に新鮮な驚きが広がりました。

貧富の差が大きいブエノスアイレス大司教の時代には、バスを使って貧しい人を訪問し質素なアパートに住んで自炊するなど、つねに弱い人々と共にいる姿勢を示しました。

新教皇の名は「フランシスコ」。すべてを捨ててイエス様にならったイタリア中部の小さな町アッシジの聖フランシスコの生き方が今この現代社会に必要と思われたのでしょう。キリストに結ばれて生きることを決断し、愛の使徒となるために信仰の旅を続けなさい、二人の「パパ様」にそう呼びかけられているように感じます。その思いを改めて心に刻みたいと思います。

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