ある田舎に、病弱な男性が住んでいました。

　彼の家の前には大きな岩があり、その岩のせいで、出入りがとっても大変でした。ある日、神様が夢の中に出てきてこう言われました。「愛する子よ！家の前にある岩を毎日押しなさい」と。

 　さて、その時から彼は希望を持って、毎日その岩を押しました。

　そうして１年ほど過ぎました。彼はだんだんと、自分が見た夢に疑いを持つようになり、岩の位置を詳しく測ってみました。その結果、なんとその岩は、ただの１ｃｍさえも動いていませんでした。　　　　　彼は思わず玄関に腰を下ろして、これまでの１年以上の無駄骨を嘆き、泣きはじめました。

 　その時、神様が現れて、彼のそばに座りこう言われました。「愛する子よ！どうしてそんなに悲しんでいるのか？」彼は答えました。「私は神様だけを信じて、神のみ言葉の通りに１年以上も希望を持って毎日岩を押したのに、岩は全然動かなかったからです。」

　神様は答えて言われました。「私があなたに岩を動かしなさいと言ったことはない。ただ岩を押しなさいと言っただけだ。今から鏡の前に行って、自分の姿を見てみなさい。」彼はすぐに鏡の前に行き、自分の姿をのぞき込み、そしてとても驚きました。なぜなら鏡の向こうには、病弱な自分ではなく、頑丈な姿となった自分が映っていたからです。

　彼はこれまでの自分を反省しながら、神様に感謝しました。考えてみたら、１年前は毎晩していた咳がなくなって、毎日気分が爽快だったし、よく眠ることができるようになったと・・・。

 　男性はすっかり元気になりました。やはり、神の慈しみのおかげで・・・。