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主任司祭より

『昭和の食堂』

2017/04/09 加藤神父


 三笠市中心部から車で10分走ると、幾春別のかつて駅舎があった所の向かい側に一軒の食堂がある。建物はレトロな昭和の雰囲気がある。暖簾をくぐり開き戸を入ると畳一枚分程の玄関があり、押戸を入ると中央の大きな灯油ストーブを中心に四人掛けのテーブル六つほどが並んでいる。この地は、昭和三十年代に大変栄えた炭鉱町で、今でも縦坑跡が残っている。三笠市幾春別地区は、今や市全体でも一万人を割る人口で往年の賑やかさはない地域だ。そんな場所にあって、今でもお客が引きも切らないお店が、この一軒の食堂なのである。メインはそばだが、ラーメン、丼物も扱っている。開店時間は午前十一時から午後三時までだが、客がひっきりなしに入り、満員の時もある。幾春別全体でさえ480人程の人口で、店の近辺は更に少なくなる。それでもこれだけの繁盛食堂なのである。実は、この近くにもう一軒、自宅を改装した靴を脱いで上がる繁盛食堂がある。二軒とも北海道新聞に紹介されたことがあるので、ご存じの方もあろう。人口の過疎地域でも二軒の繁盛食堂が存在する理由は何であるのか考えてみる。それは、やはり「美味しい味」に裏付けられた魅力にあるのであろう。わざわざ車を走らせてでも食べに行こうと、その気にさせる味をいつまでも保っているからこそなのであろう。つまりは、基本が大事だということである。

 これを、わたしたちの教会に当てはめてみると、個々人の信仰をはぐくみ続けることはもちろん、共同体としても信仰をいかに保ちながらも、絶えず進歩を目指して歩いているかが問われるのではないだろうか。

 わたしたちは、イエス・キリストの教えを本当に理解し、それを守り実践し、他の人々に伝えているだろうか。その基礎が、しっかりと自分たちの身になっていれば、どんな場面でも驚くこともうろたえることもなくなる。

 イエスは、いつも寂しいところで一人で祈っておられた。わたしたちも、試練、困難、苦しみに負けることなく、基礎をもう一度見直し、じぶんたちの確かな信じるものを人々に伝えることができるよう祈り、生活の糧としたいものである。

 

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