いのちをむすぶ
表紙は、おにぎりを握っている初女さんの写真です。その姿は、この本に書かれている初女さんの言葉が、そのまま表れているようです。
この本はカトリック信者である初女さんの写真と文章で構成されています。四季折々のいのちに関わる話と共に、初女さんの生き方、考え方が書かれています。本文の中に“本当にお伝えしたいのは、おむすびの作り方ではなく「信仰とはなにか」ということです。”とありますが、本当に「信仰とはなにか」を伝えてくれる本です。
今の時代は、ネットを検索するとすぐに疑問がわかったり、速いことがひとつの価値のように思えますが、“ゆっくり、ゆっくり”という初女さんの言葉を読むと、違う深い価値があることに気づきます。ゆっくりが難しい時もあるかも知れないけど、ゆっくりの中で行われることは心が入っている。心が込められているということかなと思います。
“食はいのち。食材もまたいのち。食は生活の基本です”と初めにありますが、食べている物で体は造られていくのです。ついつい意識せずに食べてしまうことってあります。野菜を作ってみると、野菜に力をもらっていることに気づきます。あの小さな種から、様々な野菜ができることも不思議です。ある日のミサの中で、神父様が言われました。「ぶどうの花は咲いて、実をつけ房になります。私はどんな花を咲かせ、どんな実になり、房になるのでしょうか?!」と・・・・。そこで考えてみました。初女さんの言葉は、しっかりとした房で、ひとつひとつの粒も大きく生き生きしている。張りがあって、みずみずしく、おいしそう!ぶどうの木であるキリストに、しっかりつながっている。私は、初女さんの言葉を読んでいて、日本のマザー・テレサみたいな方だなと思いました。本当の奉仕をなさる方と感じたのです。
この本には、写真も多くあります。写真と共に、初女さんの言葉を味わうことによって、私たちにもあらたな展開があるように思います。成長への第一歩のような。
私は、この本を読んでいる時に、何人かの知人、友人の顔が浮かびました。若くして息子さんを亡くした友人、学校に行く事が難しくなっている娘さんを持つ知人etc 。その方たちにも是非この本をお知らせしたいと思いました。「きっと力をもらえるよ!」と伝えたくなりました。
苦しみから立ち上がるには、人のために動くことで
喜びに満たされたときにも、人のために動くことです。
人のために働き、人に喜んでもらえると
なにものにも代えがたい、深い感動に満たされます。
それは、誰もが持つ天性です。
-見開きページより-
佐藤 初女 著/集英社 刊/定価1600円+税
更新日:2017年6月1日
執筆者
パトリシア
本が大好きな広報部員。夏は十勝にある広大な農地で畑仕事に精を出し、札幌と十勝を行き来しながら、晴耕雨読の日々をおくっています。
洗礼名について/パトリックの女性名。聖パトリックはシャムロック(アイルランド語でクローバーの意味)が象徴。アイルランドの守護聖人。